受験生の母が頑張る とこって、そこっ?

北海道の銘菓「白い恋人」がアイスクリームになり、コンビニで  2月 1日より期間限定 販売されていると聞いて 探してみたけれど、どこのコンビニでも見つからなかった。無いとなると余計に欲しくなるのは私だけ? 

職場と自宅の中間辺りにあるコンビニは、高齢のご夫婦が経営されていて、旦那様はレジを打ちながら世間話など楽しげにされる方だった。奥様はおとなしい感じの方で、アルバイトの人がお休みの場合、代わりに入られているように思えた。

ところが、ある日から 旦那様の姿が見えなくなった。最初の内は『今日はお休みの日なのかなぁ?』と思っていたけれど、会えない期間が長くなると『体調を崩されて入院されたのではないかしら?』などと心配にもなった。 その内、奥様の姿も目にすることがなくなり、入れ替わりのように、息子さんらしい人の姿を見るようになった。その息子さんは ちょっと風変わりな言動をする人で、男性客が大声で「なんだ、その物言いは!」と怒鳴られているのを見かけたこともあった。以前は 選ぶのも楽しみなほど品揃えが豊富だった棚には 空きが目立つようになり、次第に私の足も遠のいて行った。

 

『そうだ、久し振りに あのコンビニに行ってみよう』と思い立った。品数が少なくなっていたあのお店に、「白い恋人」のアイスクリームがあるようにも思えなかったけれど・・・。店内をざっと見渡す限り、あの息子さんの姿はなかった。

アイスクリームのケースに辿り着いて覗き込む。わぁ、あった! 1 個だけあった! でも1個では家族の人数分に足りない。店員さんに「今度はいつ入荷しますか?」と尋ねると、「発注をかけてもウチの店にはもう入ってこないんですよ。商品が売り切れたら終わりで、これが最後の1個だったんです」とのこと。そっか、期間限定と聞いていたし、仕方ない。「でもドリンクならまだありますよ」と教えてもらって それも購入。 うふふ。1個とはいえ、遂に手に入れたわ♪「白い恋人」のアイスクリーム。

 

帰宅して娘(小焼け)にいきさつを話すと、「あ~あ、お母さんの運をここで全部使っちゃったねぇ」と言う。えっ?と私は一瞬考えた後に 思い至る。娘よ、もしかして、母の運までかき集めて受験に使おうと思っていたの? お願いだから自力・実力で受験してよね。 

この貴重な1個のアイスクリームを家族で分け合おうと ナイフを持ってきた小焼けが言う。「こういうのって、江戸時代の長屋の人達みたいで 楽しいね。1匹の魚を『病気のおとっつぁん、おあがり』・・・『いんや、働くお前の方こそ、食べな』とかね」。 

「お母さんの分はいいから、小焼け おあがり」と令和時代の おっかさんも言ってみる ( 慈母である )。「え~、いつものお母さんらしくないよ。お気を確かに」と令和時代の娘は答える。

 

分け合うといえば・・・小焼けが幼稚園児だった時、「お母さん、半分っこすることを、『半分のいち』って言うんでしょ?」と言った。小学生のお兄さんのいる友達が、幼稚園で教えてくれたらしい。

「そっか、そのお兄さんは小学校で分数を習い始めたんだねぇ。小焼けも分数の勉強をしてみる?」と聞くと「うん! 分数する!」と答える。まず最初に「半分のいち」ではなく「にぶんのいち」だと訂正して、食べ物を同じ大きさに二つに分ける練習をしようと思った。

ちょうど、いただき物のカステラが一本あった。小焼けが子ども用 包丁を手に、慎重に二分の一あたりを見定めて切る。息を止めているかのような、真剣なまなざしだ。ようやく切り終わった小焼けは「あれ? こっちの方が ちょっと大きくなっちゃったね」と言いながら、あっという間に 大きい方を ざくりと切って自分の口に入れた。(お~い、食べるんかぁ~ぃぃ?)

「できた! これで、同じ大きさになったよ。 にぶんのいちだね。」とニコニコと満足そうだ。それからというもの、我が家では「二分の一」ブームがしばらく続き、切れそうな食べ物はどれも「にぶんのいち」にされた。「分数って楽しいね」と小焼けは言ったけれど、それって「楽しいね」というよりは「美味しいね」だったのではないだろうか。

 

追記:

白い恋人」のアイスクリームを「お母さんの分はいいから・・・」と言った慈母は、実は 衝撃の新情報を お店の人に教えてもらっていたのだった。

コンビニの期間限定販売はそろそろ終わるけれど、全国のスーパーで3月1日から販売が開始されることを。

むふふ。3月になったら、気が済むまで食べる~~♪

 

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