動物も、人間も思うようには生きられない

TV をつけると、サバンナの風景の中を動物が2頭走っていた。 速っ!! 画面左から現われて、すぐに右端まで行ってしまった。「あっ、見えなくなる」と思う間もなく 画面が切り替わり、 左側から さっきの2頭が現われる。さすがプロのカメラマンだ。対象を逃さず追い続ける。

 

(小焼け)の運動会を思い出し「我が家の素人カメラマンとは違うなぁ・・・」とプロの技に感心する。プログラムの 娘が出場する種目にラインマーカーで印を付け、「あっ、あそこに小焼けがいるよ~。前から 3 列目の左端」などと私が言い、夫が「おっ、いたいた」と ビデオを構えて待つ。これが種目毎に何度か繰り返される。

そして帰宅後、皆でビデオを観ると・・・、あれっ?! 小焼けはどこ? 最初のシーンだけは映っていたけど、速い動きにカメラが追い付いて行けてない。リレーは もとより、騎馬戦、ダンスなど どれもこれもだ。

望遠レンズだから一旦 見失うと探すのが大変。焦るのでカメラは地面や空や他の子の後ろ姿など、次々に映し込む。見ている内に酔いそうになる。

 

そんなことを思い出している内に、TV 画面はサバンナで暮らす動物の親子に変わり、他の動物に食べられてしまわないように、どう逃げるかを親が子に徹底的に教え込んでいる。命のかかった教育だ。

「ここで生き抜くのは 大変だなぁ。」としみじみと思う。自分が食べられないように逃げる。と同時に、自分の餌となる他の動物を追う。まさに命がけのチェイス。「夕方になるとお惣菜や お肉が半額よ」なんていう暮らしは ここにはない。

 

「動物園で暮らすのと どちらが幸せだろう?」と ふと思う。動物園で生まれ育った動物達は野生の暮らしを知らず、飼育員さんに大切に育てられ、餌も定期的に得られる。 でも柵がある。人間が大勢やってきて「可愛い!」なんて言いながら写真を撮ったり、覗き込んだりする。柵の中でストレスにならないのかなぁ?

 

音楽友達の あずきさんが YouTube に『真夜中の動物園』をアップされている。あずきさんの 優しく包み込まれるような歌声と、イラストレータ丁稚くんの素晴らしいアニメが相まって、味わい深い世界が広がっている。

【 ♪ 動物園では、柵も壁も 闇と同じものになった真夜中、今ではもう無い草原の はるか彼方から 滅びた群れが 連なって、やって来る ♪ ・・・ 動物園では人知れず 逢いたい相手が逢いに来る 逢えない相手が逢いに来る ♪ 】

遥か昔、人間によって連れて来られなければ、子々孫々まで広大なサバンナを駆け回っていたのだろうか。

あずきさんが 丁稚くんのページで おっしゃっている。【人は けっして一人では生きてはいけないように、動物たちも仲間に会いたいでしょうね。 切ない歌ですネ】 

 

あずきさん (歌) と丁稚くん (アニメ )による『真夜中の動物園』です ↓


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「動物は思うようには生きられないけれど、人間だって思うようには生きられないなぁ」という思いも浮かび、更に心が飛んで行く。

倉本聰さん脚本の『やすらぎの刻(とき)~道』を以前 録画で見ていた。舞台は昭和初期の養蚕農村。貧しさゆえに人買いに連れられて行く ( 満州の女郎屋に身売りされるという) 幼い少女(おりんちゃん)がいる。戦争に行きたくない意志表示として自ら命を絶つ青年(三平さん)、届いた召集令状を破り捨て 森の中に一人消える青年(鉄平さん)もいる。(鉄平さんは 50 年の時を経て姿を現すが、彼の人生は一体なんだったのだろうと思うと やるせない)。戦争と貧しさによって命を失った大勢の人達。夢を打ち砕かれ、恋も成し遂げられないまま逝った青年や女性達。

「人間も思うようには生きられない」・・・。そんな言葉では到底済まないけれど。

 

 『やすらぎの刻~道』のシーンで流れていた曲『離郷の歌』を あずきさんにお願いして歌っていただきました。↓ たくさんのありがとうを あずきさんに ♪

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ナミビアの景色』MeGeMさんの作品をお借りしました ↓ 

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ケニアの夕日』フォトレモンさんの作品をお借りしました ↓

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