『六月の子守唄』と 母親あれこれ。(追記:「よしこさん」登場です)

★死刑囚の母
7月27日の新聞、一面トップの見出しに『秋葉原殺傷 死刑を執行』とあった。その横に 同じく太字で 執行された人の名前がある。「ああ、ここにも・・・」という思いが浮かぶ。
以前にもこんな思いをしたことがあった。『 6人の死刑囚の刑が執行』というニュースが流れた時だった。(2018 年7月は ひと月にオウム真理教の 13人の刑が執行された)

『六月の子守唄』のメロディと歌詞が浮かぶ。生まれたばかりの我が子に「大きくおなり、優しくおなり」と語りかける母の想い。良き人生を送れるようにとの祈りをこめて付けた名前の下に「死刑囚」の文字がある。
こんな日が来ることを、母親は想像だにしなかったことだろう。

↓ 以前、あずきさんが 弾き語りをなさっているのを聴いて、ブログに貼らせて欲しいとお願いした『六月の子守歌』です。優しいまなざしで我が子を見つめるお母さんのイラストを丁稚くんが描いてくださいました。お忙しい中、こんなに素敵に仕上げてくださったお二人に 心より感謝します。

youtu.be

 

★家柄と良妻賢母の呪縛に囚われた母
朝ドラで「育った環境が違うし、仕事と家庭の両立はできない」と母親に結婚を反対される息子(和彦)が言う。「(恋人の) 暢子は夢があり、やりがいのある仕事もしている。僕は暢子の生き方を肯定しているし、結婚してもそのままの暢子でいてほしい。暢子の人生はキラキラ輝いて充実している」
すると 鈴木保奈美さん演じる和彦の母が言う。「(専業主婦の) 私の人生はつまらないのね? 母さんの人生は否定するのね?」
その後、自宅でお手伝いさんを相手に嘆く母親。「愛情をかけて世話をして自分の命より大切だと尽くしても おとなになるとコロッと忘れられて・・・母親なんて 虚しい人生ね」

母親はひと晩ぢう、子守唄をうたふ 
母親はひと晩ぢう、子守唄をうたふ
(しか) し その声は、どうなるのだらう?
たしかにその声は、海越えてゆくだらう?

暗い海を、船もゐる夜の海を
そして、その声を聴届けるのは誰だらう?  
     中原中也「子守唄よ」

時代背景を考えると、和彦の母親の世代の女性は 結婚すれば家庭に入り「良妻賢母」であることを求められたのかもしれない。更に彼女は「家柄」や「学歴」に囚われる育てられ方もしたのだろう。現代なら「やだー、こんなお母さん」と言われるタイプではあるけれど、(自分の命より大事だと育てた) 息子にそこまで厭われる母親の気持ち。う~む。

 

★特性を持った子の母
スーパーで、突然火のついたような泣き声が聞こえた。私は あまりの大きさに驚き 何ごとが起こったのかと 声のする方を見る。小学校低学年くらいの男の子が、お母さんの押すショッピングカートを押し戻しながら泣いている。喉がつぶれるのではないかと心配になるほど声を張り上げて泣いている。傍には 4 年生くらいのお兄ちゃんもいて、困ったような顔をして黙って立っている。お母さんは小さな声で何か話しかけていらっしゃる。

泣いている男の子の様子は、私の友人の子と特性が似ている。この子には この子なりの世界があり、何かしらの思いがあって 今 こういう状況になっているのだろう。お母さんには周りの視線が痛いだろう・・・と案じながらも、私にはどうすることもできなかった。

 

★「あれは何だったの?」と問いたい母
そういえば、娘 (小焼け) がまだ 2 歳にならない頃、ショッピングモールに出かけ、買い物を済ませて帰ろうとすると、床にゴロンと大の字になってしまったことがあった。通路は広いとはいえ、通行の妨げになる。何よりも床の上に寝転ぶなんて・・・。まだ帰りたくないという意思表示なのかもしれないけれど、駄々をこねている風でもない。ただ、床の上に大の字。
こんなことは初めてで、まだ20代半ばだった母親の私は慌てふためき、言い聞かせ、なんとか抱き起こそうとするけれど、頑として動こうとしない小焼け。通りがかりの人達の「あらら」と言いたげな視線も気になって焦るばかり。
そこに中年の女性が 小焼けに「床の上はひんやりして気持ちいいの? きっと気持ちいいんだろうねぇ~」と笑顔で話しかけ、そのまま立ち去って行かれた。すると、小焼けは ぴょこんと起き上がり、そんなことは無かったかのように、私と手を繋いで「さあ、帰ろう」という仕草を示した。なんじゃー これ。
もう少し成長した後、「あの時、起き上がろうと思ったのはなぜ?」と尋ねたことがあったけれど、「覚えてる訳な~い」で片付けられた。

 

★「デイサービス? 絶対行きません。あんたが行けばいいしょ?」と息子に言う母(追記:8月3日)

上記の『6月の子守唄』のイラストを描いてくださった丁稚くんは、本職では英語教材のイラストを描かれたり、『ハムレット』を出版される方なのですが、作詞・作曲・弾き語りもなさいます。本日の twitterでお母様 (よしこさん) のことを歌われていました。

私達は かねてより、 歌に出てくるようなできごとを 丁稚くんライブで耳にしたことがありました。丁稚くんが弾き語りをされていると 階下から「ご近所迷惑でしょ? やめなさい」という声が聞こえることもあり、リスナーの私達は「あ~あ、丁稚くんったら、お母さんに叱られちゃった」と言いながら、ライブの度に はらはらドキドキ わくわく (ごめん!) したものでした。

丁稚くんは、日々のお母様の様子をこうして飄々と歌にされていますが、日々の介護は大変なこともおありだろうと推察しています。介護のために関東からご実家に戻られたことや、ライブ中にお母様から叱られた時の丁稚くんのお返事がとっても優しくて、温かいお人柄が伝わってきます。

楽しくて やがてほろりとくる丁稚くんの歌『よしこさん』をご紹介させていただきます。↓

https://soundcloud.com/hikaru-takahashi-2/f8ilcyvjcqeu

 

★娘の志望校より、オタッキーな男子の方に興味を引かれる母
時は流れ、小焼けは高校生になった。夏休み前に個別進路相談があった。担任の先生は 明るくさっぱりとされていて 話しやすい。資料と小焼け本人の希望 & 成績を元に「志望大学は国立はここで、私立はここですね?」という確認をされる。その後「小焼けさん、1 学期の席は両サイドをオタッキーな (先生は「個性豊かな」という良い意味で使われているようだ)男子二人に挟まれて気の毒に思っていましたが 心配無用でした。どちらとも仲良く過ごされていました」とおっしゃる。

先生が笑顔で言われた「オタッキーな男子二人に挟まれて・・」の話ってなぁに? 以前に小焼け本人からちょっと聞いたような気もする。
帰宅してからもう一度小焼けに確認する。「左隣の A 君はね、自分の得意な科目には天才かと言われるほど活躍するんだけど、その他の科目の時は寝てて、授業中に当たると私に「何て答えればいい?」と毎回聞くのよ。それで、私は A 君がいつ当たってもいいように、一生懸命授業を聞かねばならないんだわ」と言う。「集中して授業を聞けば、結局は小焼けの身についているでしょうよ」と言うと「人の分まで疲れるよ」だって。う~む。

「で、右隣の B 君は?」と尋ねると「クラスの人とあまり話さない静かな人で 誤解されやすいけど、悪い人じゃないよ。1 年の時に (限定公開にしてる) SNS の DM に突然友達申請がきた(ああ、以前にそんなこと言っていたような)。その頃はまだ知らない人だったけど、同じ学校だし、ま、いっかーと思って承認した。でもねぇ、話題が固いし文章も長いんだわ。私、部活も忙しいし。それで、返信を短くしたり、時々はスタンプ 1 個だけにしたりして、フエードアウトしようとしたけど、B 君ったら気が付いてくれなかった。そしたら、2 年で同じ組になって、席も隣になった。クラスでは 人前で 話しかけられることはないんだけど、相変わらず DMは来て、この前なんか「安倍元総理の銃撃についてどう思う?」って。おい。それにねぇ、自転車置き場の B君の自転車が 私の方にだんだん近づいて来るんだけど・・・。最近じゃ、すぐ隣まで迫ってきた」・・・う~む(母 思案中)