木漏れ日の中で③(ジョギングコースとウォーキングコースの人々)

ウォーキングを始めて最初の頃、自分の体が思うようには動かなくなっていることに驚いた。少し前屈みの姿勢で歩く方が楽になっている。意識して背筋を伸ばすと腹筋と大腿四頭筋がつらい。思えば、病院と縁ができてからというもの 長らく 運動らしい運動をしていなかった。ウォーキング途中、コース傍の屋根の付いたベンチで休みながら 3 周 (3㎞) がやっとだった。しかし 3 週間経った辺りからは休憩なしで 4 周、少し休んで更に 2 周。合計 6 周 (6㎞) は歩けるようになった。歩き終わってもさほど疲れなくなり、気持ちも体もすっきりするのが嬉しい。

 

高校 3 年生になった小焼けは、「部活と受験勉強を両立させる」と張り切っていて、朝は今までよりは 1 時間半早い電車で登校し、放課後は部活の後に更に勉強してから帰宅する。高校の自習室は集中して勉強できるように設備も整っていて、早朝も夜もかなりの人数の生徒が利用しているとのこと。小焼けのお弁当と朝食作りのために 私も 1 時間半 早く起きるようになり、1 日が長くなった感じがする。ウォーキングは、仕事やアルバイトの捗り具合に合わせて 自由に出かけることができる。仕事も家事もアルバイトも能率良く済ませるようになったし、良い気分転換にもなる。

 

曜日や時間帯によって、ウォーキングやジョギングをしている人達の様子が異なるのも興味深い。さまざまな年齢の人達が思い思いのペースで楽しまれている。隣のレーンのジョギングコースの人達に どんどん追い越される。私は無理せずゆっくりと進む。 E テレの「ざわざわ森のがんこちゃん」に出てくる がんこちゃん(未来恐竜の女の子)が突然 脳裏に浮かび、自分の姿に重なる。追い越されても「のっし のっし」と心の中でリズムを取り、腕を振ってマイペースで歩く。ウォーキングコースの人達にも追い越される。私は邪魔にならないように、端っこを のっし のっし。5 月の青空と吹き渡る風を感じ、緑豊かな木々や愛らしい花達を眺めながら 楽しく歩く。

 

★ジョギングコースの人々

☆小柄な女性一人を真ん中に、両サイドには二人ずつ縦に並んだ男性。計 5 人でタッタタッタという一定のリズムと共に走られる集団あり。実業団の方達ですか?と問いたいほどカッコ良い走りだ。憧れる。到底 真似できないけどねぇ

 

☆背が高く、鍛え抜いた体つきの男性にかなりのスピードで追い抜かれた。お仕事での日々の鍛錬の賜物の筋肉だろうか? 見るからに頼もしい。そういえば、小焼けがまだ人見知りを始めたばかりの赤ちゃんだった頃、水害にあった時に助けてもらった消防士さんを思い出す。災害時の消防士さんや自衛隊の方達は 格段に 頼もしい。姿が見えただけで安堵する。心細かった時の救助は本当にありがたかった。(ここ数日の大雨で被害に遭われた皆様、大丈夫でしょうか? 心よりお見舞い申し上げます。お仕事の皆様もお疲れ様です)

↓ 当時の話はここです

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☆高校生らしき集団も走っている。前になり後ろになり楽しそうだ。数年後には彼らも社会人となるのだろうが、パワハラもセクハラもなく、今の笑顔のままで過ごせますように・・・と後ろ姿にそっと祈る。

 

☆体育の苦手そうな小学生の男の子がお母さんと一緒に走っている。傍らでお母さんが「手の振りはこうで、足はこうで・・・」とおっしゃっている。失礼ながらそういうお母さんもスポーツをされてこられた風でもないけれど、息子のために一生懸命勉強されたのかなぁ?と思える。母の深い愛だ。がんばれ~少年。

 

★ウォーキングコースの人達

☆目の前を腰に手を当てながらゆっくりと歩く女性がいらっしゃる。パートナーとおぼしき男性が寄り添われている。妊婦さんは大変ね。お腹の赤ちゃんのために栄養を摂らねばならないけれど、体重が増えすぎてもリスクがある。安産でありますようにと願いながら、私は横をそっと通り過ぎる。

 

☆幼い子がお母さんの制止を振り切って全速力で駆け出す。少し年上のお兄ちゃんより先に行きたいのね? しばらくすると立ち止まって お母さんが追いつくのを待ち、抱っこをせがんでいる。抱っこして貰うんか~い? 可愛いなぁ

 

☆小焼けが出かけて帰宅が遅くなるという日、夜のコースはどんな様子かしら?と思って 19 時~ 20 時過ぎにウォーキングに行ったことがある。仕事が終わってから来ている方達も結構いて、人の気配があることに安心する。外灯がコースの両サイドについているので明るいけれど、外灯との距離によっては薄暗い箇所もある。

 

そんな中、鈴が ちり~んとなる音が聞こえたような気がした。鈴の音も 夜に背後から聞こえるとちょっと怖い。ちり~ん、ちり~んという一定のリズムで確実に近付いてくる。振り返るのも悪いかなと 思ってゆっくり歩きながら 追い越されるのを待つ。年配の男性だった。腰ポケットに入っているキーホルダーか何かに付けられた鈴がポケットの外に出ていて 彼の動きに合わせて鳴っていたのだろう。ちり~ん、ちり~んという音も次第に遠のき ほっとする。

 

そういえば、昔見たテレビの映像を思い出す。暗闇の中を歩く若い女性。彼女はとても怯えていて小走りに急ぐのだけど、振り返っても何も見えない真っ暗闇の中、背後からザッザッという足音だけが追ってくる。恐怖に堪えきれず、遂に彼女は大きな悲鳴をあげる。きゃぁ~!!! その瞬間、彼女の横を カクンカクンと腰をリズミカルに揺らしながら早足で通り過ぎる男性の集団。そして画面いっぱいに文字が現われる。「迫り来る競歩」・・・「迫り来る恐怖」じゃないんか~い? ただの急ぎ足の人達だったのか~い?というオチ。失礼しました