電波も 渡り鳥もすごい。 山越え 谷越え、迷わずに来る

昨夜は珍しく眠りが浅かった。目が覚めて「何時だろう?」と 壁掛けの電波時計を見る。寝る前と ほぼ同じ時刻を指して 止まっている。電波時計は 電池の寿命が長い。前回はいつ交換したのか思い出せないほど。「遂に力尽きましたか」と言いながら ( 最近 独り言が多い。危ない )  壁から時計をはずして リビングまで持って行く。


新しい電池を入れてはみたものの、動き出さない。 あれ? 電池を入れると自動で電波をキャッチするのではなかったかしら? 受信方法を忘れてしまった。小さな突起を見つけて 適当に押してみる。
突然、長針と短針が ぐぃ~んと回り始めた。 速っ! けれども、12 時を指してピタリと止まった。 ん? 時刻が違うよ~。ちゃんと受信できないの? 

電池を取り出し もう一度入れ直して、最初から試みる。再び 長針と短針が ぐぃ~んと凄いスピードで回り始めるものの、また 12 時でピタリと止まり動かなくなる。う~ん。

時計を裏返してよく見ると、小さなシールが貼ってあった。(私みたいな人が他にもいて 問い合わせしたりするものだから、メーカーの人がシールを貼ってくれたのかなぁ?ありがと )。『電波を受信するまで 最長 15 分程度かかります』。そっか。じっと待ってればよかったのね。

 

待っている間に 寝ぼけた頭で考える。「たしか 福岡と福島のわずか2つの送信所だけで、標準電波を日本全国へ届けているのよね。途中には高層ビルもあり、山もあり、谷もあり…それらを全部くぐり抜けて 我が家まで来るのねぇ・・・。 幼い頃に渡り鳥の話を聞いて、何千キロ、何万キロを迷わずに飛ぶ ことに 驚いたり 感心したことを思い出す。
電波も渡り鳥も すごくない? (アベノマスク、負けてる気がする。知らんけど)。

 

そういえば、真夜中に目が覚めたという 詩があったなぁ。 【「夜が明けたら ドレモコレモ ミンナクッテヤル」 鬼ババの笑いを 私は笑った】というような内容だった。う~ん。確か石垣りんさんの『シジミ』。 気になってスマホで検索。あった!


シジミ』 石垣りん

 夜中に目をさました。ゆうべ買ったシジミたちが 台所のすみで 口をあけて生きていた。

「夜が明けたら ドレモコレモ ミンナクッテヤル」 鬼ババの笑いを 私は笑った.。

それから先は うっすら口をあけて 寝るよりほかに 私の夜は なかった。

 

『夜中にふと目が覚めて 台所に水を飲みに行ったら、朝食用のシジミがブチブチと呟いていた。』という光景だと思うけれど、私と同じように、深夜に目を覚ましただけなのに、詩人の感性の見事さ。すごいね。

 

そんなことなどを ぼんやり思っている内に、時計が ようやく電波を受信した。 午前2時 14 分!

草木も眠る丑三つ時に、リビングの薄明かりの中で おばさんがひとり。なにやら呟いたり、感心したり・・・。そんな情景を俯瞰すると、怖い。 

 

f:id:Yugure_Suifuyou:20200529211511j:plain