「それがなんぼのもんじゃい おじさん」と「てやんでぃ おじさん」

私の中には3人のおじさんがいる。 

「それがなんぼのもんじゃい おじさん」はTVだか映画だか忘れたが、自分の家が火事になり もう手が付けられない状態の時、燃えさかる自宅を見ながらそう呟いたおじさん。
時は真冬。おじさんの手と脚はぶるぶると震えていた。それは寒さ以外に おじさんの気持ちを正直に物語っているように思えた。

その状態でもおじさんは言い放った。 「それがなんぼのもんじゃい!」

この言葉にはいろいろな意味があるのだということは後で分かったが、この時 私は おじさんが精一杯この悲惨な現実に立ち向かおうとしている印象を受けた。

 

「てやんでぃ おじさん」も同じくTVか映画か落語に出てきたおじさん。手の平を鼻の下に当て、下から上へと撫で上げながら言い放つ。「でやんでぃ!」

 

どちらのおじさんも かなり無理をしている。それでも負けまいとして そう言い放っている(ように思える)。
私はこのおじさん達が好きだ。 強がって、無理をして、そして健気ではないか。

 

同じ町内に「ちこちゃん」が住んでいたら、私は しょっちゅう叱られるだろうな、と思うほど「ぼぉ~っと」生きている私でも、ここまでの人生の間には 辛いことや悲しいこともあるにはあった。

そんな時、自分自身に こう呟いた。「それがなんぼのもんじゃい」「てやんでぃ」。

 

多分、西の地方の人だと思われる「それがなんぼのもんじゃい おじさん」と、多分、東の地方の人だと思われる「てやんでぃ おじさん」・・・東西の強がりおじさんを二人、味方につけてそう言えば、どんな状況でも切り抜けられる気がした。

 

現在でも、心にかかることが無い訳ではない。これからの人生にも思いもかけないことが待ち受けているやも知れぬ。

でも、だいじょうぶ。私にはこの二人のおじさんがいる。
「それがなんぼのもんじゃい」「てやんでぃ」。
こうやって、時に自分を励まし( しょっちゅう自分を褒めつつ)、人生の坂を登って行こう。

 

えっ、三人目のおじさん?
それは、私。 子どもの頃から「とても可愛いのに(まだそれを言うか)、なんか、おじさん くさいねぇ」と言われていたもので。

そういうことだから、他のおじさん達にも親近感を抱き,共感してしまうのかなぁ? 

ま、ええ。(ええんかぃ!?)