従姉妹の進む道

2019年5月16日

先日、親戚が久しぶりに集まった。

その中に、乳幼児を二人連れた従姉妹もいた。彼女の夫は単身赴任している。

赴任先の国が話題になった。その名は知っているものの、白地図で指し示せと言われたら、正解をだすのが難しい国。

「ねぇ、首都はどこだったかしら?」と叔母が言う。それに続いて、そこに居る者が口々に言う。 「治安は大丈夫なの?」 「現地の言葉も難しそうね。」「英語でも通じるの?」・・・等など。

 

それでも彼女は、子ども達がもう少し大きくなったら夫の元に行くのだという。
彼女のくったくのない笑顔を眺めていると、見せて貰ったその国の写真の街並みの中に、彼女と子ども達が 違和感なくおさまって見えた。

 

彼女は昔から のびやかな人で、学生時代に突然、あるオーディションに応募し予選を突破して周りの人間を驚かせた。 その直後に銀行の内定も貰った。

そして、「堅実な道を選ぶように」と母親から説得され、あっさりとそれに従った。その後に現在の夫と巡り会い、結婚した。

 

「あの時、オーディションの方を選んでいたら、今頃どうなっていたかしらね」と、別の伯母が、遠い日を思い起こすかのように言う。
「そっちの方も、結構 楽しかったかもね」と彼女は歌うがごとく答える。

 

彼女がいると、周りがぱっと明るく楽しくなる。
彼女の才能と人柄は皆に愛されて、そちらの世界でも華を咲かせることができたような気もする。

 

近い将来、幼子達と共に見知らぬ国に行く彼女。
苦労も多いだろうが、どこにいても、どんな状況でも、幸せを自分で作りだしながら生きていけるのは素敵なことだと、改めて思った