『受験生のいる風景』は 最後までドタバタと

桜便りが届き始め 心和らぐこの時期が 私は一番好きなのですが、はぁ~、今年は特に待ち遠しかった・・・。我が家の『受験生のいる生活』が ようやく幕を閉じました。 

コロナ禍に振り回された 1 年で、ある時は「わっ、コロナ感染?」と慌てふためいたりもしました。それでも、体調も崩さずに受験できたことに感謝しつつ、合格発表に至るまでの あれこれを書き留めておこうと思います。( 将来「あんな日々もあったなぁ・・・」と笑いながら思い出せるよう、備忘録です)

 

★ 第一志望校の受験票を貰ってすぐ、「おじいちゃんと おばあちゃんに見せよう」と娘 ( 小焼け ) が言って、ビデオ通話を開始する。画面の向こう側でおばあちゃん (私の母 )が「あらぁ、縁起の良い番号ねぇ。答案用紙に間違って書かないように、語呂合わせで覚える?」と言い、「こういうのはどう?」と提案を始める。その横でおじいちゃん(私の父)が「その語呂合わせだと、間に  うっかり 1 を入れてしまいそうだよ。これはどうかな?」と別の語呂合わせを言う。今度は おばあちゃんが「それだと間に 4 を入れてしまいそうよ」と心配する。  

二人の やりとりを聞いていた小焼けが のんびりと言う。「おじいちゃん、おばあちゃん、ありがとうね。でも、その語呂合わせを覚える方が大変そうよ。これくらいの受験番号なら、普通に数字で覚えられるよ。それにねぇ、入試の時は受験票を机の上に置いて 確認しながら書くから 心配しなくても大丈夫だからね」。

 

★ 塾に行くこともなく過ごしてきた小焼けが、「 K ちゃんの行っている塾で、冬休みから『入試直前講座』っていうのが始まるらしいから、行ってみようかな?」と言い出した。( おっ、ようやくその気になりましたか? めでたい ← 私の心の声 ) その塾は自分の授業のない日でも 自習室で勉強できるとのことで、冬休みから受験直前まで 毎日通うようになった。

 塾の近くに 小さな公園がある。小焼けの話によると、ある日、その公園のベンチに高校生カップルが仲良さそうな様子で座っていた。邪魔をしないように気配を消して通り過ぎようとしたら、突然「小焼けちゃん!」と呼ばれたとのこと。振り返って見ると 部活の先輩で、小焼けが第一志望にしている高校に行っている Y さんだった。「ここの塾に行ってるの? 頑張ってね」と励まされ、嬉しかったらしい。 

 

それから数週間後、入試の三日前。小焼けがいつものように 自習室で最後の追い込み勉強をしていると、先生が「小焼けちゃんに会いたいという高校生が来ているよ」と呼びに来られたとのこと。急いで 講師室に行くと、先日公園で出会った Y 先輩が「入試直前で緊張してるんじゃないかと思って・・」と綺麗にラッピングされた箱を手渡してくれた。

 先輩が帰った後、先生方が口々に「眩しいほど可愛い女子高生が来た」とか「あの子は何の用があって来たの?」とか「小焼けちゃんに会いに来たんだって?」とか言われ、ひとしきり 講師室が賑わったらしい。(私も会ったことがあるけれど、Y さんは確かに 眩しいほど可愛い。講師室が ざわざわするのも分かる) 

Y 先輩に貰った箱を 家に帰って 小焼けが開ける ( 勿論、私も一緒に覗き込む )。わぁ、手作りの おしゃれなクッキーと ガトーショコラが センスよく並べられている。添えられたメッセージカードに「小焼けちゃん、絶対合格して また一緒に部活しようね。待ってるよ!」とあった。Yさんの優しい心遣いが 心に染みる。

 

★入試当日。さすがに緊張しているのではないかと心配していたら、小焼けが 試験会場に持って行く物の再確認をしながら 鼻歌を歌っている。『晴ぁ~れた空~♪ そぉ~よぐ風~♪』 なんと! それは ひいおばあちゃんが よく口ずさんでいた歌だ。小さい頃から耳にしていて、覚えていたのね。 私と目が合うと「良い天気になりそうだねぇ」と のんびりした口調で言う。朝食もいつも通り もりもり食べて入試へと出かけて行った。 

 

受験終了して 帰宅後、録画予約しておいた入試解説番組を見ながら自己採点している。「あれぇ、今までの定期テスト・模試・習熟度テストの中で、2番目の高得点なんだけど」。 え~、まじっすかぁ? もしかして『3問とも正解ならば、2点』とかいう所を、1問ずつに丸を付けて合計6点で計算してないかぃ? と言いたくなる言葉を、私はぐっと飲み込む。せっかく受験が終わったのだから、結果発表まで気楽に待っていた方がいいものねぇ。

 

★ 合格発表の日。友達と一緒に見に行こうと約束していたけれど、Kちゃんが「思ったよりできなかった。私、駄目かもしれない。泣きそうだから、お母さんと一緒にそっと見に行くね」と言い出し、T ちゃんも「私も、いつもなら できたはずの問題を 幾つか間違った」と悲しそうに言うので、別々に見に行くことになったらしい。 

 

私は仕事なので、「結果を LINE で知らせてね」と言って出勤した。ところが、合格発表の時間を過ぎても LINE が届かない。「あらぁ、あんなに高得点だって言っていたのに、やはり、自己採点の計算間違い?」と心配になる。それから更に時間が経っても一向に LINE 通知がない。

 

 小焼けなら、第一志望が不合格でも 第二志望の高校で楽しく過ごしていくだろう。「将来 就きたい仕事 ( 夢 )」への道は 少し遠回りになるように思えるかもしれないけれど、遠回りに見えて、実はまたそこで新たな発見もあるだろう......などと考えたりもする。それでも、塾の『入試直前講座』に行き始める前の ほぼ3年間はひとりで頑張ってきたのだから、願わくば第一志望の高校で、エール を届けて ( 以前のブログに書いた、色紙の寄せ書きや  Y 先輩の手作りお菓子など)待っていてくれる 中学の先輩達と また部活が一緒にできれば嬉しいだろうなぁ・・・とも思う。 

 

待ちきれずに、仕事の昼休み時間に電話をする。「どうだった?」と尋ねると、「それがねぇ、寝坊しちゃって、まだ見に行ってないよ」。 はぁ~? なんですとぉ~? この大事な日に目が覚めなかった? 

今まで小学・中学と一度も遅刻をしたことがないのに、入試も卒業式も済んで ひと安心して爆睡したのかしら? 

 

小焼けは更に続ける。「お昼ご飯を食べてから発表を見に行こうと思って、テレビ をつけたらねぇ、合格発表のニュースが流れていたよ。で、『喜びの受験生です』とか リポーターが言って、合格者の受験番号が貼られたボードの前で 写真を撮ってる人達が映ってた。それでね、その人達の後ろに 私の受験番号が ちらっと見えたよ。合格してるみたい。ご飯食べたら ちゃんと見てくる」

え~、思いもかけない展開。その後1時間ほどして LINE に 小焼けの受験番号の写った写真が送られて来た。あら、ホントに合格してる。おめでとう。(それにしても、 ニュース画面の片隅に 偶然自分の番号を見つけて 合格を知る人って、全国にどのくらい いるのだろう?と母は思った)

 

★ ブログや twitter でエールを送ってくださった皆様、ありがとうございました。小焼けは 皆様からいただいた言葉をちゃんと胸にしまって試験に臨んだようです。

 

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