TV録画を見る(その③ なんもしない人)

 2019年5月8日

録画したものの中に「レンタルなんもしない人」もあった。
「昨年6月、突如として現れた謎の男。何もせずただそこにいるだけという不思議なサービスを提供する」というナレーションから番組が始まった。

 

料金は交通費と飲食代のみ。 現場では何もせず、簡単な受け答えのみなのだが、レンタル依頼は後を絶たないという。
依頼者達は言う。 「気を遣い合うのって疲れる。レンタルさんだと気が楽」。「この虚無感が好きなんです」
.・・・・「期待しなくてもいい人」を求める人達がここにいる。

 

画面に映る彼(レンタルさん)は、少しはにかんだような笑顔と 物静かな雰囲気が 人に安心感を与えるような、思慮深そうで すらりとした人だった。

 

「皆さん、どういう思いで依頼してくるのでしょう?」という記者の問いかけに、ご本人は 「いろんな理由があって、言葉にできる理由以外にも、もっと もやもやした何かがある。単に人が必要っていうのは、単純にさみしいとかそういうことでもない。友達もいっぱいいるし 家族との関係が良好な方でも依頼をしてくるんですけど、 (良好な関係を) 維持するために、そこが複雑なところだなって思います」と応える。

 

彼は続ける。 「いろんな人がいるなぁ、みんないろいろと悩んでいるなぁていう多様性、バリエーションが見えると『自分も存在してOK』みたいな気持ちがより一層強まるっていう感じで、 依頼のたびに気持ちが楽になるっていうのはあります」。

 

彼は優しいなぁ。 そして依頼してくる人達も優しい。
相手の気持ちも考えず、言いたい放題で我の強い人は、彼らのような思考回路を持っていないのだろうと思った。