恋 あれこれ 

娘(仮の名「小焼け」)の友達Mちゃんが、「小焼けちゃんと 一緒に勉強する約束をしたのよ」と家に来た。幼稚園時代から知っているけれど、Mちゃんは会う度に素敵な女の子に成長している。

 

勉強の合間に 、Mちゃんが突然 言う。
「ねぇ、おばちゃん。小焼けちゃんに彼ができたの知ってた?」
「はい?」と私は驚き、娘の顔を見ると、素知らぬ顔でおやつを頬張っている。

 

Mちゃんは続ける。

「それがね、おかしいったらないの。小焼けちゃんが【 E 先輩に告られたんだけど、まだ付き合い始めてもいないのに、速攻で振られた】って言うのよ。で、スマホ(の文面)を見せて貰ったら、【小焼けちゃんが大好きだ。けど、受験もあるから付き合うのは無理かなぁ】とかあって、その後に【やっぱ、あきらめきれないんだけど…】と続いていたのよ。これって【付き合ってください】っていう意味でしょ? 告られて速攻 で振られてないよね? 小焼けちゃんったら、読解力なさ過ぎ~」。

 

私の産んだ娘が、「読解力なさ過ぎ~」と笑われている。 遺伝だわね。

 

母親に知られても、娘は平気らしい。「ふふふ」と笑いながら、また おやつに手を伸ばしている。

部活の先輩の E 君のことは、私も学校行事などで何度か見かけたことがある。ひょろりと背の高い、真面目そうな、感じの良い男の子だ。

「学年も違うのに、どんな風にして付き合っているの?」と尋ねると、自転車通学の E 先輩とバス通学の娘は、停留所1個分だけ一緒に歩いて帰るのだそうだ。(部活を引退した先輩と まだ部活がある娘では なかなか時間が合わないらしいが・・・)。

二人が楽しそうに会話しながら、ゆっくりと歩いている様子が目に浮かぶ。

 

Mちゃんはまだ続ける。「うまくいってるのは小焼けちゃんだけよ。この前『失恋した』と言ってた同じクラスのSちゃんは、情緒不安定になって 授業中にポロリと涙をこぼすし。性格の悪い女子と付き合ってたK君は『もう女なんか信じらんねぇ~』って ぼやくし・・・」。

 

『中学生の初々しい恋。可愛いいのぉ~、みんな』と私の中のおじさんが 顔を出して微笑む。

 

つい先日、ブログに「娘の恋バナが聞けるのは当分先のことだろう」と書いたばかりだったのに、予想外の展開の早さ。

そういえば、最近、娘が机に向かっている時間が 増えていた。
Mちゃん情報によると「小焼けちゃんは E 先輩と同じ高校に行きたいらしいよ」。
そうだったのか…。ひとつ謎が解けた。

私にとって持つべきものは、『陽気で情報通の、 娘の友達』。
Mちゃん、ありがと。


そして・・・・・・思う。
事故・災害・病気・(ましてや虐待などもってのほか)で失われた幼い命。
その子達の将来にも あったはずの  たくさんの可能性や喜び。
生まれ変わったら、笑いながら こんな  たわいもない恋の話が できますように(祈)