尖りきれない男の子たち

★ TV局が 街でインタビューした番組を観た。 テーマは「2019年の重大ニュース」。

新宿の広場でラップをしていた少年達の一人が答えた。「今年 中3になってトガった」(ことが彼にとっての今年の重大ニュースらしい)。 彼は更に続ける。「不良の部類じゃないですか? 良い子じゃないです。 絶対。トガってるんじゃないですか?」。

見ると、耳には幾つものピアス、手にはタトゥー・・・。なかなかの トガりっぷり・・・。

レポーターが「ごりごりにピアスを開けてるの?」と心配そうに尋ねると、「さっき買った 全部フェイクピアス」と言い、指でひょいと引っ張って取って見せる。マグネットでくっついているだけで 耳に穴は開いていない。 リポータの「安心したぁ」という声がマイクに入った。 

隣の少年も「これもそう。さっき買った」と自分もフェイクピアスを取り外して見せる。 手のタトゥーは好きなミュージシャンの名前だとのこと。「これ(タトゥー)? ジェットストリームっていうマジックペンで書いた」のだそうだ。

 

レポーターはまだ尋ねる。「今までしてきた1番悪い事って?」
少年は答える。「親にクソババアって言ったことです」。

もう一人の少年は「牛乳あんまし好きじゃないんすけど、お母さんが買ってきたタピオカに ミルク入ってて、僕、ちょっと怒った」。

 はい?  これが今までしてきた中で一番悪いこと? お母さんのことをクソババアと呼んでしまったり、せっかく買ってきてくれたタピオカに文句を言ってしまったことを後悔してるから、心に残っていたのね。

お母さんには気の毒だけど、それらが ニュースに度々登場する クラスメートへの陰湿な いじめや犯罪ではないことに、私は救われる。

そう思えば、言葉遣いは「です、ます調」だし、雰囲気も爽やかだ。

 

画面には二人の少年の笑顔がアップで映し出され、その下に大きく文字が入った。

「絶対イイ子達」。

TV画面のこちら側の私も 「だよね!」と相槌を打ちながら大笑いする。 

うんうん、良い子たち。 思春期を 思う存分「トガって」気が済んだら、彼らなら いずれ「爽やかな社会人」として歩み始めるのだろうな…と思った。

 

 

★ 以前に聞いた 双子ちゃん男の子のエピソード。 

保育園に入ってしばらくすると、年上の子達の真似をして 悪い言葉を使ってみたくなったらしい。そうすると、自分も年長さんの仲間入りができる気がしたのかな?

「やべぇ」「~だぜ」を連発するようになった。
一人が言う。「やべぇ! ワンワンがいるぜ!」
もう一人が言う。「やべぇ! にゃー にゃーも来たぜ!」

 

背伸びして悪ぶってはみたものの、まだ「ワンワン」と「にゃー にゃー」のお年頃なのね。もう~ 可愛いったらありゃしません! 抱っこして ほっぺ スリスリしたい。 

きっと、サンタさんが 欲しかったプレゼントを持って来てくれるよ ♪♪