えっ、年が明けて もう7日!

★「お年玉を預け入れに行く」という娘 (小焼け )と共に 銀行に行った。いつもなら 正月三が日の初売りを楽しみに ショッピングモールに出かけるのに、今年はコロナ禍で ひたすらステイホーム。小焼けが言うには「高校合格が決まったら思いっきり買い物に行くから、それまではお年玉を貯金しておく」のだそうだ。 

 

ATMには先客があった。幼稚園児らしき男の子と 小学生のお兄ちゃん・お姉ちゃんの三兄弟と お母さん。幼稚園児は、今まではお母さんにして貰っていた ATM の操作を、今年は初めて自分でするのかな?という雰囲気があった。ゆっくりと画面を押している。「3,7,0・・・」。「そんなに大きな声で言っちゃだめ」とお姉ちゃんが優しい声で止める。 『あらら、それって暗証番号なの?』と思いつつ「3・7・0・・・」と頭の中で復唱している自分がいる。(見ず知らずの少年の暗証番号を記憶して、いつどこで使おうというの? 私) 

 

「あれ?」と少年が言う。エラーが出たらしい。 画面を覗いたお兄ちゃんが「ゼロが多すぎるよ~」と教える。「そっか」と言いつつ、少年はまた最初からやり直している。

ん? 暗証番号じゃないの? そういえば、5桁の暗証番号ってないよね。じゃあ、3・7・0・・・ってなぁに? 入金なら自分で金額を入力しなくても ATM が自動で数えて「金額はこれで間違いないですか? よろしければ『確認』を押してください」などと画面に出るよね?

ってことは、出金? そっか、今年貰ったお年玉を自分名義の通帳に 一旦 全額入れて、その後に 自分が欲しかったものを購入する代金を引きだそうとしているのかな? ( 小焼けは 幼い頃からそうしてきた)。  3700 円おろすのね。幼稚園児にしては大金。彼は何が欲しいのだろう? 嬉しそうだ。 傍らのお母さんは、少年とお姉ちゃん・お兄ちゃんの様子をニコニコしながら見守っている。 

コロナ禍の中にも、何気ない日常の 穏やかな情景がある。

 

自分の口座に入金を済ませた小焼けが、帰りの車の中で言う。「あの子、 3 万 7 千円も貯金を下ろすのかと、びっくりしたよ。ゼロを間違えて多く押したんだね。それにねぇ、最初に 3・7・0・・・って大声で言うから暗証番号かと思って、覚えそうになったよ」。だからですね、娘よ。よその子の暗証番号を覚えてどうするの?って話ですわ。・・・って、私もだったわ・・・。 

 

★今年はインターネットを介して、実家の両親の顔を見ながら会話をするという、今まで経験したことのない新年の幕開けとなった。

画面の向こうから 母が言う。「ねぇ、紅白で『パプリカ』を見た? 去年のお正月は、おばあちゃんの部屋で この曲を みんなで踊ったりして賑やかに過ごしたのにねぇ。明るい曲なのに、なんかしみじみとしちゃったわよ。」 

まだコロナの存在そのものが伝わっておらず、祖母への面会も何の心配もなくできた昨年のお正月のことを思う。「おばあちゃんも、口や身体を動かして 一緒に踊い踊っているように楽しそうだったよね」とその時の情景を思い浮かべながら、皆がそれぞれに話す。 それから、昔話にまで遡って ひとしきり祖母の話に花が咲く。

「こうやってみんなで話していると、ひいおばあちゃんは、ちゃんとここにいるね」と小焼けが言う。うんうん、姿は見えなくても、(ひい) おばあちゃんはちゃんと私達と一緒にいる。 

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 「ねぇ、おじいちゃんと おばあちゃん。今年の抱負はなぁに?」と唐突に小焼けが尋ねる。

「抱負かぁ」としばらく考えこんで父が答える。「死なないで、生き抜くことだな」。

傍で母が付け加える。「ただ生き抜くんじゃないわよね、お父さん。美味しいものを食べて、言いたいこと言って、笑いながら生き抜くのよね、私達」。

「死なないこと」が年の始めの決意だなんて、今までならジョークとして捉えるところなのに、時期が時期だけに現実味を帯びて伝わってくる。切なくさえある。

でも、負けずにめげずに一歩一歩進んで行くしかないよねぇ。よっし、がんばろう♪

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★このような、備忘録みたいな拙い日記ブログを訪れてくださる皆様。ありがとうございます。

コロナ禍で不安を抱えたままの新年の幕開けになってしまいましたが、人間のたくましさと 希望を支えに進んでいきたいと思っています。

皆様にとって健やかで豊かな年になりますよう、お祈りしております。

 

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