「男の子」も「男の人」も・・・泣いちゃってください

街で 向こうからやって来た幼い子が急に走り出した。「危ないよ」 というお母さんの声はしたけれど、勢いよく転んでしまった。赤ちゃんを抱っこしたお母さんの為に 先に走って行って、斜め前にある歩行者専用ボタンを押してあげようとしたらしい。良い子ねぇ。 

しかし 勢いがついていた分、転ぶと痛い。大泣きをするその子に若いお母さんは言った。 「男の子でしょ!? 痛くない!!」。

あらら・・・、男の子でも 痛いものは痛いよねぇ
ジェンダーフリー時代といわれて久しくなるが、まだまだ「男の子」は大変。

痛いの 痛いの 飛んでけ~♪

 

そういえば、私の父は涙を見せない人であった。辛いことや悲しいこともあったはずなのに、どうしていたのだろう。 娘の私が目にしなかっただけかなぁ。

それゆえに、一度だけ見た父の涙が印象に残っている。
父の母 (私の祖母) は病と闘っていたが、容態が急変し 誰も最期に間に合わなかった。
大急ぎで病院に駆けつけ ベッドに横たわる母親の姿を見た時、父の妹(である私の叔母)は声をあげて泣いた。

父の兄は何も言わず 自分の母親の顔をじっと見つめていた。 次男である私の父も無言で見つめていたが、頬に一筋の涙が伝わった。意識していないのに自然に流れ出た涙のようであった。とめどなく流れる涙ではなく 一筋であったのが余計に切ない。

父の母は「昭和のお母さん」そのもののような人で働き者であったらしい。家庭の事情もあって 夫 (私の祖父) と二人だけで 誰にも頼ることなく頑張って子ども達を育てあげたと聞く。 そんな母親の姿を 子どもの頃からずっと見てきた 父も 父の兄も 涙は流さずとも全身で泣いていたのだろう。

父や伯父の世代は「男は涙を見せるな」と言われて育ったのだろうか?  涙にはカタルシス効果があり、男の人だって涙をたくさん流せれば 楽になるのに・・・と思った記憶がある。

 

男の人といえば・・・随分前の選挙の時、元首相が応援演説に駆けつけていて、街は大勢の人で ごったがえしていた。 選挙カーの上で、ひときわ目を引く人達がいた。 

元首相を取り囲むSP (BD?) の人達。 見るからに立派な体格で、かもし出す雰囲気にも威圧感がある。微動だにしないけれど 四方八方に目を配っているのが伝わってくる。さすがプロだ。いざとなれば命を張る仕事をする人達だ。気の休まる暇もないだろう。

「この人達、仕事を終えて 奥さんや恋人 (あるいは信頼できる人) と二人きりになった時は、心身ともに寛いで すっごい甘えん坊さんになっているといいなぁ・・・」とも思った。 どこかで緊張の糸を緩めないとね。バランス  バランス。

 

そんなこんなで、一人の男の子が転んだことから、またまた 頭の中が あちらこちらへ飛んで行った話。 暮れも押し迫ったこの時期に 困ったもんです。