母親に歌ってもらう子守歌 と 自分で自分を包みこむ子守歌

施設にお世話になっている祖母には まだ面会できないけれど、職員さんの計らいのお陰で、窓越しに会わせてもらえることになった。

電話で 「 6 月に入ってから  体調がすぐれない」と聞いて案じていた。最近は食事がとれないこともあり、うとうと眠っている日が増えているとのこと。 窓越しに会う祖母は、ひとまわり小さくなり 表情もはっきりしない状態に思えた。

窓の向こう側で 祖母に付き添ってくださっている職員さんが、「ご家族が来られましたよ」と伝えるかのように、祖母の肩をそっと撫でられると、わずかに目を開けて微笑んだ(ように思えた)

娘の 小焼けは「窓ガラス越しだと、ひいおばあちゃんは小さい文字は読めないよね」と言い、大きくカラフルな絵を描いて持参した。 こちら側の窓ガラスにピタリと貼ると、祖母は 一瞬 目をくりくりとした (ように見えた)。その仕草は「すごいね!」と感心して褒める時の祖母の癖だ。祖母のいる所からだと逆光になるし、今の状態では どこまで認識できたのかは不明だけれど、それでも「ひいおばあちゃんは、ちゃんと分かってくれたね」と その場の皆が 笑顔になった。

その後、祖母はまた うとうと し始め、目を閉じてしまった。その姿を見た母は、いつもは私達と同じように 「おばあちゃん」と呼びかけるのに、この時は 窓ガラスをコンコンと叩きながら 「お母さん!」と言った。その言葉に私は驚き、母の心情を思うと切なかった。


そう言えば…かなり前のこと、祖母が遠いところを見るような目で、「お母ちゃん…」と呟いたことがあった。その呼び方は、幼かった祖母が母親を呼ぶ時のものだと (私の) 母は言った。 「私達には見えない世界で、おばあちゃんは 自分のお母さんに会っているのね」と言いながら、私も一緒に幸せな気持ちになったことを思い出す。


母や祖母の姿を通して思う。「人の魂は、人生の最期には また母親を求め、胎内を懐かしみ、再びそこへ戻って行くのだろうか…」

 

★『 6 月の子守歌

この曲を初めて耳にしたのは、弾き語りをなさる あずきさんライブでした。あずきさんの優しい歌声に包まれていると、いつも とても柔らかで心地良い思いがします。

昨年、母がこちらに立ち寄った折に、「ネットで、素敵な弾き語りさんに出会ったのよ」と、 あずきさんの録音を紹介したことがありました。何曲もある内の 1 曲『 6 月の子守歌』をヘッドホンをして、じっと聴き入っていた母が「優しく心に染み入る表現をなさる方ね」と言い、涙を浮かべました。

祖母が施設にお世話になることへの 母の葛藤は、私も知っていました。皆で相談して出した結論ではありましたが、母の心の中には 理屈では割り切れない、自分を生み育ててくれた母親への思いが ずっとあったのでしょうか…。

「大きくおなり、優しくおなり」....... この歌詞から伝わってくる、我が子を慈しむ母親の姿と、遠い日の若い若い自分の母親の姿が重なったのかもしれません。

先日、あずきさんに、「『 6 月の子守歌』をブログに貼らせていただけませんか?」とお願いしたところ、快く YouTubeにアップしてくださいました。優しいまなざしで我が子を見つめるお母さんのイラストを丁稚くんが描いてくださいました。あずきさんと丁稚くんのお気持ちに たくさんの感謝を捧げます

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★『ララバイSINGER~アザミ嬢のララバイ

こちらの曲は、母親に歌ってもらう子守歌というよりは、 自分の疲れた心を 自ら優しく包みこんで眠らせる子守歌でしょうか?
【歌ってもらえるあてがなければ、人は自ら歌びとになる。どんなにひどい雨の中でも、自分の声は聞こえるからね】
自ら歌びとになって 自分で自分を励ましながら 頑張らねばならない時もありますね。そんな あなたに  あずきさんの優しい歌声が届きますように。

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★もうひとつの『 6 月の子守歌』です

yugure-suifuyou.hatenablog.com

 

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