庭にも 心にも 春

家の玄関前の大きな 6 個のプランターには 36 株のパンジーの苗が植えてある。娘 (小焼け) が かなり前に一人で植えたものだ。

小焼けが言うには「苗を買った時には花が咲いていたのに、プランターに植え替えた後は蕾もつけなくなったよ。パンジーって次々に花が咲くよね? なんでかなぁ? 水やりをしすぎたかなぁ? お母さんが退院する日に間に合うように、早くいっぱい咲かせようと思って、植える時に粒の肥料を土の中に混ぜ込み過ぎたのが悪かったのかなぁ? 後で調べたら、肥料が多すぎると花が咲かずに葉ばかりが成長するらしいね」

 

言われてみれば、各プランターには 一つか二つ花が咲いているのもあるけれど、あとは「観葉植物ですか?」ってほど、濃い緑の立派な葉が生い茂っている。(これはこれで見事だけれど)

「この前まで、朝は氷点下になる日が続いてたしね。暖かくなったら咲き始めるかもよ」と言いながら、私はウルウルとする。そかそか。ありがとうね。私が病院から帰って来た時に 玄関先でたくさんの色とりどりのパンジーが出迎えてくれるようにと 植えてくれていたのね。

 

それからというもの、目覚めると庭に出てプランターを眺めるのが 私の毎朝の習慣になった。数日前、よく探さないと見つからないほどの小さな蕾が、茂った葉の間にひっそりとあるのを発見した時は とても嬉しかった。

その後、日に日に蕾が大きくなり、遂にどのプランターの花も開き始めた。それぞれの花の色の組み合わせも美しい。美術が好きな小焼けらしい彩り。いいね。

 

ここ最近は風も柔らかくなり、春の足音が着実に近づいているのを感じる。お日様ってありがたいなぁ。

小焼けも呼んで一緒に眺める。「これからもっともっと咲くね。良かった! 楽しみ~」

6 個の大きなプランターの中の 36 株のパンジーが咲いた光景は見事だろう