あれこれと想う

★ 町内会の用事でご近所さん宅へ伺うと、「夕暮れさん、コスモス持って帰る?」と言われた。「ちょっと待っててね」とお庭へ。そして、たくさんのコスモスに吾亦紅を添えて 立派なブーケにしてくださった。

わぁ、嬉しいなぁ。帰宅して 祖母の写真の前に飾る。戸外で 青空を背景にして風にそよぐコスモス達は素敵な情景だけれど、こうして、微笑む祖母 (の写真)と一緒のコスモスも愛らしい。ご近所さんの優しさにありがとう ♪

 

★「私ね、目薬がさせないのよ。先端恐怖症だからね」と唐突に職場の同僚が言う。えっ!? 長い付き合いなのに初めて耳にしたわ。彼女にしてみれば「わざわざ言うほどのことでもないけど、今回 たまたま話の流れで言っただけよ」という感じだった。

そういえば、音楽友達 A さんが話の中で何気なく言われたことがある。「私、なかなか眠れなくてね」。彼女の周りに集う人達に、いつも明るさや 心和むひとときをくれている A さんが、不眠症の辛さを抱えていらっしゃることを初めて知る。仕事も多忙そうだし、眠れなかった翌日はしんどいでしょう・・・。

最近、訪問させてもらうようになった N さんや M さんのブログは、優しさと ユーモアとウィットに富んでいて魅力がある。過去記事も遡って拝読していると、N さんは学生時代に辛い体験をされたらしい。そして M さんはパニック障害に苦しまれた時期もおありだったとのこと。ご本人にしかわからない症状は さぞ 辛かったことだろうと思いを馳せる。 

また、 以前から、更新を楽しみにして読ませていただいているブログも多い。周りの人達や戸外の草花などに注がれる優しいまなざしが伝わる日もあれば、職場のこと・ご家族の介護・ご自身の健康のことなど綴られる日もある。

Aさん・Nさん・Mさん・私の職場の同僚・ブログやツイッターでお知り合いになった方達は どなたも明るい雰囲気をまとわれているけれど、内にさまざまなものを秘め、心身の不調とも折り合いをつけながら、懸命に歩んでいらっしゃるのだなぁ、と改めて思う。

 

『人生って そもそも自営業だからね』( みうらじゅんさん ) の言葉が浮かぶ。それぞれに かけがえのない、誰とも交換することができない自分自身の人生。

そういえば、先週「私、コロナに感染した?」と不安に駆られていた時、毎日発表される感染者数を目にして思った。「もしかしたら、この 8 万 6千 数百人という数字の中に『1』として私も加わるの? だとしても、『 8 万 6 千数百分の 1 』ではなくて、私の人生は『 1 分の 1 』よね? 世界の感染者でみれば、 3581 万という数字の中にも一人一人の大切な人生があるのにね。

 

 

★ 先日、新聞の歌壇に載っていた短歌と、選者の永田和宏さんの言葉を目にし、驚くと共に胸がいっぱいになった。

観音寺市)篠原俊則さん【闘病の歌詠む住持の名を長く見ぬまま虫の鳴く頃となる】

永田和宏さん【篠原さん、岡田独甫さんは 5月 1日にご逝去。案ずる歌が多く寄せられています】

 

岡田さんのことは、以前に私もブログに書かせていただいたことがある。 ↓ 

yugure-suifuyou.hatenablog.com

  

歌壇にたびたび登場される 僧侶の岡田独甫さんの詠まれる歌は、世情をしっかり見つめられ、尚且つ、おおらか・ユーモラスで 魅力的だった。

 

核兵器持つ大国も0.1ミクロンの敵にあたふたしをり

☆ 檀徒よりしばしば魚を貰ふためホームセンターで「ウロコ取り」買ふ

☆ 流行せるコロナウイルス警戒し亡父の年忌に長子のみ来る

☆ 庫裡の電話早朝鳴りて身構ふる死者出でたるに相違なければ

☆ 親の死期宣告されし子寺に来てその日の前後の予定を尋ぬ

☆ 呆(ほう)けたる爺が葬儀後僧われに「儲(もう)けたのう」と声を掛けくる

 (※ この歌のみ『番外地』として採用。『番外地』とは『入選はしなかったが、捨てがたい可笑しさをもった歌であり、これらの笑いは現実を笑いとばす元気や挑発力があるのが楽しい歌』とのこと)

☆ 元の値は適正なりしや売れ残りお歳暮商品半値で並ぶが

☆ 競争心老いにもありて級友が認知症検査の得点誇る

☆ ステージは吾と異なれど同じガン病める檀徒と相哀れめり

☆ ガンを病み先わからねど来年も忘年会を子と開きたし

 

選者のお一人である 馬場あき子さんは 以前に【 ( 岡田さんの ) いかにも洒脱(しゃだつ)な、そしてあからさまな自己暴露を、敬意とともに愛するファンの方も多い】と記されている。

人生の途中からは病を抱えながらも 大事な生を生きられた岡田さん。ご冥福をお祈り致します

 

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