のんびりした距離感の心地よさ

遠く離れて暮らす友から ひょっこり メールが届いた。俳句が 3句 添えられている。 17文字を介して伝わる 彼女の日々の想い。

「ブログに書いてもいい?」と尋ねると、「いいよぉ~」と朝ドラ風味の返信。彼女が推敲を重ねた句は 彼女自身のものだから、私がそのまま載せるのは申し訳ない思いがする。それで、句に込められた想いを(私の感じたものも含めて)書かせてもらうことにする。

 

★ 1句目。
【 霜の降りた 底冷えのする朝。 まだ日が差し込んでいない薄暗がりの中、自宅を出て職場に向かう。 既に刈り込まれた田んぼにも、霜が まだらに降りている。
(その田んぼの中には) 取りこぼしの米粒をついばむために、チュンチュンと鳴きながら動き回る雀たちがいる。 そんな小さな体で 寒いでしょうに・・・。 お日様、早く 陽を差して・・・。 こんなに小さな雀たちも 頑張って生きているのだから、私も 今日を精一杯 がんばろう 】。

 

★次の1句。 【 高速道路の側道(高速道路に沿って走っている下道。山手の道)を ゆっくり走行していると、山々の中に  あでやかな紅(赤色)・オレンジ色・黄色に色づいた葉をつけた木々が、緑色の木々の間から見えた。そのさまは、まるで競いあっているような、あるいは、騒いでるようであった 】。

f:id:Yugure_Suifuyou:20191130222524j:plain

   ↑ 写真はフリー素材からお借りしたものです。句とは イメージが異なりますが…)

 

★最後の1句。【 紅葉は終わりを迎えた。 左右に 背の高い街路樹のある車道には、 うっすらと落ち葉が積もり始めている。車が通るとその勢いで落ち葉が舞い上がる。舗道側には 車椅子の老婦人。車椅子が ゆっくりと静かに通り過ぎて行った後にも 落ち葉が はらはらと舞った。 季節はすこしずつ本格的な冬に向かっているのだなぁ】

(私の拙い文章力では、3 句に込められた 彼女の想いを伝えきれない・・・泣)

 

彼女の句には 五感を研ぎ澄ました魅力がある。 ほんの 17 文字から  色彩・音・動き・皮膚感覚・情景など が しっかり伝わってくる。 美しく、素敵で、見事だ。

 例えば、1句目。【吐く息の白さ】、【皮膚を刺すような冷気】、【既に刈り込まれた田んぼ・霜の情景】、【薄明かりの淡いグレイと霜の白、雀たちの茶色】、【チュンチュンという可愛い鳴き声と、ちょこちょこと動き回る姿】。

そこに彼女の想いと願いが加わる。【寒いでしょう?  お日様、早く顔を出してあげて】。そして 雀たちの姿から【自分も頑張ろう】という気持ちが湧き上がる。 

彼女らしい 優しさと真摯さ。(それにしても、「こんな早朝に出勤しているのねぇ。貴女は 今でも十分がんばっているよ」と、彼女に伝えたい。)


私なんぞは、「ハロウィンのお面をつけた娘に 驚かされた」と、1 行で済むことを 下のブログのように、長々書き連ねてしまう。 いつか、私にも 17文字や 31文字だけで 想いを伝えられる日が来るだろうか?   言葉も 贅肉も オヤジギャグも 全部そぎ落として すっきりと生きてみたいのだけれど…。う~ん、そんな日が来る気がしない…。) 

yugure-suifuyou.hatenablog.com

 

彼女も含めて 遠方の友人達とは、急用でもない限り LINEも電話もすることはない。 けれども、日々の暮らしの中で ふと感じた想いを、時折 こうして共有させてくれることを とても嬉しく思う。

もう学生ではない私達には、これくらいの のんびりした距離が心地良い。

 

追記: こういう場合 ↓ 大急ぎで電話をします。 

yugure-suifuyou.hatenablog.com